歯科心理とは

歯科心理とは、歯科医院における、歯科治療特有の患者心理のことです。

なぜ治療前にカウンセリングが大切なのか?

お口の中、実はすごいんです!

口腔内はとても特殊な場所であり、内臓の入り口として非常に重要な器官です。無数の神経や血管が存在し、粘膜、舌などの軟組織と歯や骨などの硬組織が複雑に存在する敏感な部位です。口の中は、掃除が必要な唯一の内臓とも言える場所で、日常の食事や呼吸に欠かせない場所です。口腔は嵐のようにも形容されることがあり、常に活動しているのです。

日本人は非言語の部分を大切にするため、口元に敏感な方が多い

内臓の中で唯一「表情を司る」口腔は、人間の感情や非言語的なコミュニケーションに深く関わっています。日本人は非言語の部分を大切にするため、口元に敏感な方が多いのです。マスクを通じての安心感もこの一因と考えられます。しかし、この敏感な部分を初めての歯科医院で触れられるのは、患者にとって大きなストレスとなりうるのです。特に、説明や痛みへの対応が不足している場面では、患者の恐怖心や不信感が生まれることもあるのです。

数多くの歯科恐怖心の強い患者さんにお会いして思うこと

私は多くの患者様と接してきました。特に歯科治療に対して苦手意識を持つ方々の声を聞く中で、歯科特有の患者心理の存在を強く感じました。歯科治療に対する「怖さ」は、あるきっかけで感じることがある、自然な感情であると理解しています。それ故、歯科医療従事者は患者の感情を理解し、対応する必要があると考えております。

歯科治療と心のケア「歯科心理」

恐怖心を無視して、すぐに治療を行うことは避けるべき

歯科医師になって15年以上、本当に多くの患者様にお会いする機会がありましたが、歯科に強い恐怖心を持たれている患者様の治療を担当して感じたことは、患者様の恐怖心を無視してすぐに治療を行うことは避けるべきであるということです。

治療を実際に行う歯科医師、歯科衛生士、歯科心理カウンセラーが、カウンセリングすることが大切

実際治療を行う前に、歯科医師、歯科衛生士、歯科心理カウンセラーが、患者さんとお話ーカウンセリングする時間が、歯科恐怖心を少しでも和らげることに関与していると考えます。口の中は非常にセンシティブです。実際に口腔内を触らせていただく歯科医療従事者自身が、まず患者様の歯にふれる前に、心にふれることの重要性を、私は強く感じ、私自身が心理カウンセラーの資格を取りました。また、当クリニックには歯科心理カウンセラーが数名在籍しております。 そして、新しい歯科治療のカタチとして考えたのが「歯科心理」という言葉です。

歯科への恐怖心は克服できます

15年以上の歯科治療のうち、約80%が歯科恐怖症の患者さん

私の治療を希望される患者様は、歯科への恐怖心をお持ちの方が多いです。実際、歯科医師免許を取得してから15年以上経ちますが、約80%が歯科恐怖症の患者様でした。 患者様は、行きたくない歯医者に電話をして予約を取り、予約の日まで憂鬱な日を過ごされたであろう、キャンセルしようかななどと悩まれたであろう、と想像すると、実際クリニックに足を運んでくださったことにまず敬意を表さずにはいられません。

怖いという気持ちをお話していただくことが第一歩

歯科心理カウンセリングを受けられた方の殆どの方は、歯科への恐怖心を克服していらっしゃいます。(克服のスピードには個人差があります。)自分のお気持ちを、歯科医療従事者に対して自分の言葉でお話しいただくことは恐怖心の克服に大きな意義があると感じております。

「先生じゃなきゃ、無理だった。寄り添う治療を有難う」

一人で来院できず、椅子に座ることも、口を開けることもできない

中には、大人の女性にもかかわらず、一人でクリニックに来院することができず、ご友人に付き添ってもらいながら来院。デンタルチェアーを倒されるのも恐怖、口を開けるにも震えてしまい、開かない。歯に器具が少し当たっただけでも、震えてしまうような状態でした。共感される方、とても多いと思います。 過去のトラウマのせいで、頭では歯科医院に行かなくてはとわかっていても、怖くてずっと一歩踏み出せなかったとのこと。悪化していく口腔内を想像しては、不安になっていたそう。

今では、インプラントも検討できるように

毎日のようにインターネットで歯科医院を検索していたそうですが、今では基本的な治療を終え、歯科への抵抗感がない患者さんでも怖いとおっしゃる、インプラント治療をいつ行おうかと前向きに考えられています。「先生じゃなきゃ、無理だった。寄り添う治療を有難う。」という言葉もいただき、はじめの頃を思い出すと、よくぞここまで信じて通院してくださったと心より感謝しております。

歯医者が大嫌いだった小さな女の子

最初の治療の日は、チェアーに座ることも拒否

幼稚園生の彼女は、歯ブラシが大嫌いでほぼ全ての乳歯が治療の必要な虫歯でした。前の歯科で怖い思いをしたということで、初日は頑なに椅子に座りませんでした。 歯科以外の話を沢山しました。だんだん心を開いてくれ、それと共に治療も少しずつできるようになりました。まずは治療負担の少ない歯を選び、歯が治っていく様を細かく説明。子供だからといって説明を省いたりはしません。

歯医者が楽しいと言って通ってくれるように

彼女も、1年以内に全ての歯の治療を終えることができました。お母様の涙が忘れられません。最後の治療の日は、チェアーに座ることも拒否していた小さな彼女がよくここまで普通に治療ができるようになった、歯医者が楽しいと言って通ってくれるようになりました。嬉しくて、涙が溢れるのを必死に耐えながら治療をしたことを昨日のように思い出します。 私が旧姓花輪の時のニックネームである「花ちゃん先生」は、歯医者が大嫌いだったこの小さな女の子がつけてくれた呼び名です。 この症例を詳しく読む

歯科恐怖症リハビリ治療の必要性

歯科恐怖症の方は、歯科意識が高い患者さんが多い

歯科への恐怖心が強い方は、一生今のままで良いとは思っていません。沢山悩み、苦しみ、不安だったからこそ、なんとか歯科医院に行かなくても済むようにと情報収集され、高い歯科知識をお持ちです。今や、歯の残存歯数が健康寿命に直結すること、歯周病があると、糖尿病や早産、身体へのリスクが高いことも理解されている方ばかりです。 頭では、歯科医院にいく必要性を理解しながら心が拒否している。しかし精神科を受診するほどではない。つまるところ、どうしたら良いか、解らないという状況に置かれている方がとても多いと、患者さんから聞いております。歯科医院に行きたくても行けないという方が山ほどいる中で、実際に歯科医院を受診される方はほんの一部です。私は恐怖心から、受診できず困っている方の力になりたいと強く感じました。

近くの歯科医院に通えるようになるために…「リハビリ治療」という提案

しかし実際は、家の近くの歯科医院で治療やメインテナンスをしていけたら良いのにと多くの方がお考えだと思います。いくら評判の良い医院でも、家から遠ければ長期に渡り通院することは難しいこともあります。そこで私は、歯科心理カウンセリングとともに、歯科恐怖心を克服するための、リハビリ歯科医院、リハビリ歯科治療の必要性も感じたのです。 医科のリハビリ医院であれば、良くなれば退院ということになります。歯科で言うならば、卒業でしょうか。歯科恐怖心でお困りの患者さんが、その恐怖心を克服し、安定した口腔内を得たのちに、お近くの通院しやすい歯科医院でメインテナンスを受け、安定した口腔内を長く保っていただくことが私の希望です。

医は仁なり

「先生に会えてよかった」 「先生に会うと元気になる」 「先生に会ってから歯医者が好きになった」 これは患者様からいただいた言葉ですが、歯科医師としてとてもありがたく、私は本当に素晴らしい患者さんに恵まれていると感動しました。私こそ、お会いできて本当に良かった、本当に幸せなことだと思って診療しております。

安心して通えるかかりつけ歯科医院があること、きちんと噛めるということは、人生の幸福度を左右するほど価値がある

人間の三大欲求の内の一つは食欲です。きちんと噛めるということは、人生の幸福度、満足度を左右するほど価値のあることです。当院は、歯科恐怖心は誰でも持つ可能性がある自然な感情だと考えております。歯科が苦手、怖いと感じていらっしゃる方から選ばれる、安心して通院していただける歯科医院をスタッフ一同目指しております。 是非、一歩踏み出すお手伝いをさせてください。小さなお子さんから大人の方まで、一人でも多くの方が歯科への恐怖心から解放され、より幸せに満ち溢れた人生を送れますように、微力を尽くしてまいります。  

おぎはら聡美 (旧姓 花輪)

歯科医師 歯科心理カウンセラー 歯科心理カウンセラーインストラクター 歯医者が怖い方のためのさくら百華デンタルクリニック院長 メンタル心理ヘルスカウンセラー メンタル心理インストラクター ビー スマイル ラボ主宰 アロマセラピスト 1980年12月 神奈川県秦野市生まれ 2003年3月 玉川大学文学部英米文学科国際経営コース卒業 2003年4月 東京歯科大学歯学部歯学科学士編入学 2008年3月 東京歯科大学歯学部歯学科卒業 多くの患者様の治療を担当する中、歯科恐怖症の方々の治療を精力的に行う。「歯科恐怖症の方が来院しやすい医院をつくりたい」と、2020年1月、歯医者が怖い方のためのさくら百華デンタルクリニック(旧オダサガ歯科 健美サポートクリニック)を開院。以来、市内をはじめ、県外から来院する患者様は後をたたない。 現在は「歯は心」をモットーに歯科心理カウンセラーの育成にも携わっている。
歯科恐怖症に悩む患者が市外、県外からも来院する 歯科心理カウンセラーの初著書!

なぜ歯科恐怖症になってしまうのか。「歯科心理カウンセラー」とはいったいどんな役割なのか。歯科心理カウンセラーがいる歯科医院はどんなメリットがあるのか、などを徹底解説しています。

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