一人で来院できなかった大人の女性

はじめての治療時に芽生えた恐怖心から、歯科医院に行くと嘔吐してしまうように

「やるのか、やらないのか!」
「口をもっと大きく開けなさい!」
一方的な対応に恐怖を感じ、6歳で歯科恐怖症に。

幼少期に歯科医院で受けた恐怖体験がトラウマとなり、40年以上、まともに歯科治療を受けることができなかったとのこと。初診時はお一人で来院することもできませんでした。

STEP 1|まずは歯科医院に来ることに慣れていただく

カウンセリング中、泣き出してしまうほど、長年にわたる歯科治療へのトラウマ。

検査のためのエックス線撮影も顔面蒼白。口の中に口腔内ミラーを入れようにも、震えてしまい口がほぼ開かない状態でした。

今まで多くの患者さんを担当しましたが、成人の方で、恐怖心から一人で来院できなかった方ははじめてでした。口元も震えてしまい、器具を入れようにも入れられませんでした。デンタルチェアーを倒すだけでもビクッとされていたと記憶しています。

初診時で治療なんてしなくても良いんです。大人だって怖ければ一人で来院しなくたって良いのです。ただ、医院に来る。まずはそれだけで充分なのです。

慣れてきたらデンタルチェアーに座り、口の中を鏡で見るだけ。歯科への恐怖心の強い方は、それだけだって、震えるほど勇気の必要なことなのです。それを、歯科医師側がしっかり認識、評価する必要を私は感じています。

STEP 2|痛みのない治療からはじめる

デンタルチェアーに座り、口を開けられるようになった後、下の前歯の歯石取り、着色取りからはじめました。根こそぎ歯石を取ろうとすると痛みが伴いやすいので、とにかく痛みの出ない範囲で歯石除去。鏡を見てもらいながら治療前後で変化していることを確認していただきました。

治療前はもちろんのこと、治療中も治療内容は全てその都度ご説明しながら行いました。

とにかく痛みのない治療から。そして、今、何をしているのか、これから何をするのかを知っているか、知らないかで恐怖心や不安感が全く異なると私は考えています。場合によっては使う器具をお見せしながらわかりやすく、細かく説明いたします。患者さんからは、「こんなに説明してもらったことはない」、「安心できる」というお言葉をいただいています。

歯石取り、着色取りを数回に分けて行います。歯石を取るだけで口の中がかなりさっぱりしますし、何より歯が白く綺麗になります。優先的に治療すべき歯がある場合もありますが、基本的には歯石取り、着色取りなどの歯周病ケアからはじめます。着色が悩みで人前で笑えなかったり、口臭が気になって人に近づいて話せなかった患者さんも、悩みが改善しつつあることを実感いただけます。

STEP 3|麻酔や、歯を削るなどの治療を

抜かなくてはならない歯を抜いて、削らなくてはならない歯を麻酔をして削らせていただきました。治療計画を立て、患者さんのスケジュールも考慮しながらすすめました。審美性には重々配慮しました。

患者さんに信頼、安心して通っていただけるコミュニケーション、雰囲気などのクリニック作りがいかに大切かと考えます。患者さんファーストで、想像力を働かせながら、恐怖心に寄り添う姿勢が歯科医師に必要と私は考えます。治療中の説明はもちろんのこと、声かけがとても重要です。

STEP 4|歯科に恐怖心のない方でも怖いような治療もできるように

なるべく歯は抜きたくありませんが、抜かなくてはならない歯は抜いて、残った歯で、ブリッジ治療を行いました。上下とも、セラミックのブリッジ治療を選択されました。本数が多かったので、麻酔も広範囲の時もありました。型取りも特殊なため、嫌がる方も多いものですが無事にクリアされました。

スモールステップの積み重ねで、過去のトラウマを払拭。この頃には歯科への恐怖心を克服できていることを実感いただけるはずです。途中、恐怖心が蘇ってきても、恐怖心を、歯科治療の必要性という理解が上回っているので、リセットできます。そして、「ここまで頑張ったのだから、諦めたくない」という強い気持ちが生まれています。

患者さんの意思を尊重しますが、体調のこともありますので、無理だと感じた時は、治療途中でも無理せず次回いらした時に続きを行えば良いと私は思います。

STEP 5|インプラント治療を考えるまでに

基本的な治療を終え、長期にわたる咬合負担を考えると奥歯にインプラント治療をしておいた方がベターな状態でした。今は、いつインプラントしようかと考えられています。

今では、歯の美しさを褒められることがとても多くなったそう。恐怖心を払拭し、歯が綺麗になると、自信もつきますし、心も前向きになります。なにより、笑顔が増えます。笑顔が増えると、美しさも、倍増します。

結果|誰もが羨むような美しい歯になりました

誰もが羨むような美しい歯になりました。もともと美しい方でしたが、より美しさが増したと感じています。

今では歯についての相談をされることもあるそうです。ホームケアも熱心で、色々なデンタルグッズを試して、口腔内の清掃性を向上されています。

歯に自信のない方は、笑う時に口元を手で隠します。写真も、歯を見せて笑いません。治療後、笑顔が増えると患者さんが多いことも納得です。

「歯は、人間の外見のみならず、内面にも大きな影響を与える」。自身の経験から、私は強く信じています。

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